2013年07月14日

米無人機X-47Bが空母への着艦に初めて成功した本当の意義



ノースロップ・グラマンがアメリカ海軍向けに開発しているステルス無人戦闘攻撃機
X-47B ペガサスが7月10日、空母への着艦試験に成功しました。

無人機が空母に着艦したのは史上初めてだとのことです。

X47Bは、米メリーランド(Maryland)州のパクセント・リバー(Patuxent River)
海軍航空基地を離陸した後、バージニア(Virginia)州沖の大西洋上の空母
ジョージ・H・W・ブッシュ(USS George H. W. Bush、CVN-77)に着陸を成功
させたものです。


米無人機X47Bが空母着艦に成功した時の映像


このX-47Bの空母着艦成功は、単なる無人機の開発成功というだけで無く、軍事的
エポックメーキングとなる歴史的意味合いを持っている可能性があります。

そのことを理解するために、まずX-B47の概要について触れてみます。

X-47B ペガサスとは
2008年3月21日付けのアビエーションウイークによると、X-47B の特徴は、
レーザー光線と高出力マイクロ波(HPM)で敵のミサイルや通信施設を破壊
することができるということです。

いわゆるミサイル防衛システムとは異なり、発射段階にある敵の弾道ミサイルを
レーザーで攻撃することで敵のミサイル発射基地までも一挙に破壊することが
できるのです。

空対空ミサイルも装備し、様々な方法で敵のミサイルを迎撃することも可能となる
予定であるとされています。

X-47Bは2011年2月4日にエドワーズ空軍基地で初飛行に成功

2012年には地上でのカタパルト射出試験に成功

2013年5月14日にはジョージ・H・W・ブッシュ (空母)でのカタパルト射出試験にも
成功していました。

2013年7月10日、パクセント・リバー海軍航空基地を離陸したX-47Bは、バージニア州沖の
大西洋上の空母ジョージ・H・W・ブッシュへの着艦テストに初成功。

将来は日本を拠点にする第7艦隊の空母打撃群に配備される予定。

近年、中国が開発中の東風21D対艦弾道ミサイルに対する対抗策として、X-47Bの
利用価値が再評価されています。

X-47B(米国防省公開資料から)
HPTIMAGE.jpg

スペック
全長: 11.63 m
全幅: 18.92 m
全高: 3.10 m
重量: 6530.29 kg
最大離陸重量: 20215 kg
動力: プラット・アンド・ホイットニー F100-220Uターボファンエンジン
巡航速度: マッハ0.45
航続距離: 2100 NM(3889 km)以上
実用上昇限度: 12190 m 以上
兵装: 2 × GBU-31 JDAM

X-47B開発の最大の難関とされる着艦に成功したことで、2020年の配備に向けて
XB-47B開発計画は大きく前進したことになります。

米海軍では無人艦載機を実用化し、当面は空母を拠点とした洋上における継続的な
情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動に使用する計画です。

また、さらに洋上での偵察活動だけではなく、最終的には攻撃能力を持たせることを
計画しています。

X-47Bは、米軍が開発中の最新鋭ステルス戦闘機F35の2倍近い航続距離があり、
形状からも分かるとおりステルス性能も持つ見通しです。

X47Bは基本的には無線操縦ですが、リーパー(Reaper)やプレデター(Predator)
といった他の無人機よりもプログラムによってより、自律的に飛行することが
できるようになっています。

このため、X-47Bは従来の遠隔操縦を行う方式の無人攻撃機と異なり、例えば
有人戦闘機に随伴し、戦闘場面に突入した段階で有人の指揮官機から簡単な指令を
受け取り、後は半自律的に行動する事が可能だと言われています。

プレデターなど、これまでの無人攻撃機は対ゲリラなどの不正規戦への投入が主で
正規軍相手の正面作戦などには通用しない物だったのに対し、X-47Bは自立した飛行が
できることや高いステルス能力により敵正規軍への攻撃が可能になったのです。

当然、このことは今後の戦争の形態を変えることになり得るもので、アメリカ以外でも
イギリス(BAEタラニス)、フランス(ダッソーnEUROn)、ロシア(MiGスキャット)、
中国(利剣)など各国でも艦載型ではなものの、同様の性能を持つステルス無人攻撃機を
開発中なのです。


艦載型のX-47Bを開発することの意義

パイロット養成コストの削減

海軍の戦闘機パイロットが洋上の空母に着艦できるようになるためには、莫大な費用と
何年もかけて訓練をする必要があります。

また、艦載機のパイロットは技量を維持するために定期的に着艦訓練をする必要があります。

無人機が増えるということは、パイロットの養成のための費用が抑えられるだけでなく、
訓練のために空母を使用する頻度も減るということでもあります。


対中国の空母戦を想定した兵器体系

地上の基地などの偵察であれば、人工衛星などからの偵察でもかなり補完できます。

しかし、敵が洋上の空母機動部隊ともなると、時々刻々と移動しており、どうしても
航空機などを近接させてその動静を探る必要が出てきます。

しかも、敵戦闘機や、対空防御網を突破して近づく必要があります。

X-47Bは明らかに空母機動部隊の強行偵察や、攻撃を最終目的としているように見えます。


無人機ゆえの性能向上

無人機ということは人を乗せる必要がありません

ということは、人だけでなく、人が乗っているために必要な装置が必要なくなります。

コックピット、座席、酸素ボンベ、パラシュート、計器、救命装備、操縦桿その他諸々の
ものがいらなくなります。

また、人が乗っていないということは、急激なGの付加など、ある程度無茶なマヌーバーも
可能だということです。


人命への配慮がいらなくなる

航続距離にしても、人が乗っていれば、かなりの安全係数をかけなければなりません

ところが無人機であれば、そのような配慮を必ずしもしなくても良くなります。

敵の防空能力が大きく、相当の被害があることが予想できても、作戦を実行することが
可能です。

また、悪天候で、帰艦が困難な状況や、あるいは片道特攻などのようなこともやろうと
思えばできることになります。


最終的にはロボット兵器による戦闘

ロボット技術が急速に発展している現在、そして将来、危険な戦場に生身の兵隊を送る
必要が無くなれば、それだけ先進国の兵隊は安全になるということですね。

X-47Bはロボット兵器というにはまだまだ未熟な兵器ですが、今後、この種の兵器が
さらに高度化してくるのは間違いがありません。

そして、さほど遠くない将来、ロボット同士が戦うという時代になるのでしょうか。

X-47Bの出現は海上においてもロボットによる戦いが始まった象徴と言えるのでしょう。


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posted by 如月実 at 15:02 | TrackBack(0) | 防衛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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