2013年09月10日

アメリカのシリア攻撃もロシアの新提案により水入りか



ロシアのラブロフ外相は9月9日、モスクワで、シリア問題に関する緊急の
声明を発表し

「もしシリアの化学兵器を国際管理下に置くことで、攻撃を回避することが
できるのなら、われわれは直ちにシリア政府と共にその作業に参加する」と述べ、

シリア政府に対して国際管理下に化学兵器を置くよう求めたことを発表
しました。

ロシアのクレムリン

また、ラブロフ外相は、シリア政府に化学兵器を廃棄すること、
OPCW=化学兵器禁止機関に加盟することも要請したということです。

ラブロフ外相は声明の前に、シリアのムアレム外相とモスクワで会談して
ロシア側の立場を伝えたということです。

ロシア政府としてはアメリカ政府が軍事行動を開始する前に、シリア政府への
働きかけを強め、アメリカの軍事行動を回避させたいとしているとみられます。

軍艦からの巡航ミサイル攻撃

このロシアからの要求に対して、シリアのムアレム外相は

「提案を歓迎する。シリア政府は国民や治安の安定を重視し、アメリカによる
軍事行動を回避するというロシアのリーダーシップを信用している」と述べ、

ロシア政府の提案を受け入れる考えがあることを示しました。

このロシアがシリア政府に対し化学兵器を国際管理下に置き廃棄するよう
求めたことについて、

アメリカ、ホワイトハウスのカーニー報道官は記者会見で
「提案を検討し、ロシアやほかの国と協議するつもりだ」と述べました。

ただし、この記者会見で「アサド大統領は、これまで化学兵器を保有している
ことさえ認めてこなかった。われわれは、アサド政権に対し、非常に懐疑的だ」
と述べ、

ロシア政府の提案に慎重に対応する考えも示しました。

アメリカ議会

一方この動きを受けて、9日から軍事行動を承認するかどうか審議を始めた
アメリカ議会上院は、与党民主党のリード院内総務が

「シリア情勢を巡り、国際的な協議が進むなか、議会が予定どおり
手続きを進めることはアメリカの利益にならない」と述べ、

アメリカ議会上院の決議案の採決に向けた手続きを延期することを
明らかにしました。

ただ、オバマ政権は
「シリアのアサド政権が化学兵器を手放す姿勢をこれまで見せたことはない」
と指摘し、軍事行動の方針は引き続き堅持していくとしていて、

9日、アメリカのメディアのインタビューに対して

「若干前向きな動きだ」と評価したうえで「軍事行動を行わずに
化学兵器の使用を止めることができるなら好ましい」と述べ、

ロシアや国連などと協議し、検討していく考えを示しました。

窮地を救われたオバマ大統領

今回のロシアの提案によって、決議案が可決するのではとみられていた
アメリカ議会上院でも、採決を先送りにしたことで、

アメリカによるシリア攻撃は当面、行われない模様です。

オバマ政権にとっても、国民の支持が得られない中、米下院での
決議案可決も難しい状況で、ぎりぎりの判断を迫られていたところでしたが

ある意味、今回のロシアの提案はオバマ政権にとっても助け船になったと
思われます。

今後のシリアの動きにもよりますが

うまくシリアが立ち回れば、オバマ大統領も「振り上げた拳を」メンツを
つぶされることなく下ろすことができるという状況も生まれてきます。

当面は、シリアが化学兵器を使用したとされる事への国連の調査結果と、
シリア政府の今後の対応が注目されます。

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posted by 如月実 at 15:57 | TrackBack(0) | 国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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