2013年11月11日

イラン核協議まとまらず、さらに交渉継続へ、裏にはイスラエルの意図も



イラン核協議まとまらず、さらに交渉継続
裏にはイスラエルの意図も、

詳細は後半で

まず、

交渉の経緯

イランの核開発問題を巡るイランと欧米など関係6か国との協議は、
11月7日から、第1段階の合意を目指して交渉が開始され、

8日にはアメリカのケリー国務長官やフランスのファビウス外相など
各国の外相が相次いで現地入りして会談を重ねました。

ケリー国務長官

日本時間の9日未明からは、イランのザリーフ外相とアメリカの
ケリー国務長官、EUのアシュトン上級代表による3者会談も行われ、

経済制裁の緩和などについて突っ込んだやり取りが行われました。

ロシアも、これまでこの協議に外務次官を派遣していましたが、
アメリカのケリー国務長官をはじめ、ヨーロッパ各国の外相も
相次いで現地入りして協議が続いていたことから、
ラブロフ外相も急遽この協議に出席しました。

そして、日本時間の9日午後から予定を延長しての3日目の協議が
行われ、合意を目指して、ぎりぎりの交渉が続けられました。

しかし、第1段階で経済制裁をどの程度緩和するかを巡って、
欧米側がイランの海外資産の凍結の解除など限定的な制裁の
緩和を示しているのに対し、

イラン側は原油の禁輸措置の解除など、制裁の柱となっている
措置の解除を求めているとみられ

10日未明、EU=ヨーロッパ連合のアシュトン上級代表と
イランのザリーフ外相は共同で記者会見を行い、

アシュトン上級代表は、「建設的な議論が行われたが、まだ
違いが残っている」と述べ、

経済制裁をどの程度緩和するかなどを巡って、双方の認識の
溝が埋まらず、合意できなかったことを明らかにしました。

イランのザリーフ外相

そのうえで、今月20日にジュネーブで再び協議を行うと
発表しました。

今回の協議では、双方の溝が埋まらず合意に至りませんでしたが、

アメリカのケリー国務長官は「大きな進展が見られた、このあと
真剣な作業を行うことで必ず目的を達成できると信じている」と
成果を強調し、

次回の協議での合意に期待を示しました。

今回の協議では、フランスがイランに対してより大きな譲歩を
求めたことが合意を困難にしたと伝えられています。

これに関連して、フランスのファビウス外相は「一貫してこの
問題の解決を望んできた」と述べて、フランスが合意に反対
していないことを強調しました。

そのうえで、「協議では進展が見られたが、解決できない点が
残された。次の協議で合意を目指したい」と述べて、今後の
合意に向けて期待を残しました。

イランのロウハニ大統領は、「ウランの濃縮活動の権利は、
譲れない一線だ」と述べ、譲歩を求める欧米側をけん制
しています。

イランのロウハニ大統領

日本の岸田外相のイラン訪問

また、イランを訪れている岸田外務大臣は、日本時間の9日夜、
首都テヘランでロウハニ大統領とおよそ1時間会談しました。

この中で岸田大臣は、イランの核開発問題を巡り、欧米など
関係6か国との間で大詰めの協議が続いていることについて

「最終調整が行われていることを心強く思う。合意に至れば、
平和的解決に向けた大きな一歩であり、実現を期待している」
と述べました。

そのうえで岸田大臣は、核開発問題の解決に向け、あらゆる
核実験を禁じたCTBT=包括的核実験禁止条約を批准する
ことや、

IAEA=国際原子力機関によるすべての核施設への
「抜き打ち査察」を受け入れることなど、具体的な行動を
取るよう求めました。

これに対しロウハニ大統領は、欧米など6か国との協議について、
「重大な決意のもとに臨んでいる。懸念を払拭するために努力する
用意がある」と応じました。

岸田外務大臣

さらに、岸田外務大臣は、訪問先のイランで、日本時間の10日夜、
協議から帰国したザリーフ外相とおよそ1時間、会談しました。

この中で岸田大臣は、核開発問題を巡る協議について、
「柔軟な姿勢を示し、結論が出ることを期待している」と述べ、
次回の協議で合意できるようイランに柔軟な対応を求めました。

これに対しザリーフ外相は、協議の内容を説明したうえで、
イランに核兵器を保有する意図はないと強調しました。

そして両外相は、

・核開発問題の最終的な解決に向け、両国が協力し、外交努力を
 継続していくこと
・軍縮や不拡散に関する日本とイランの協議を再開する

などとした共同声明を発表しました。


今回の交渉に影響するイスラエルの意図

今回のイランと欧米など関係6か国との協議では合意に至りません
でしたが、これまでの状況からイランと欧米諸国双方が、核開発
問題の合意を望んでいるとみられ、

20日からの協議において何らかの妥協が図られる可能性は
依然として高いと思われます。

しかし、今回の協議には直接関係はありませんが、イランと敵対
しているイスラエルとしては、イランがいくら平和目的といっても、
核開発能力を進展させるということは

将来、いつ核兵器に転用されるか分からない状況になることは、
国家の安全保障上、容認できない事態でもあります。

イランの原子炉

今は平和目的であっても、原子力発電によって大量に蓄積された
ウランやプルトニュウムが何時の日か、強硬派がイランの政権を
取り、核兵器に転用される可能性、

北朝鮮のような例も有りその可能性がないという保証はありません

国土の狭いイスラエルは、核弾頭を積んだ数発の弾道ミサイルで
壊滅状態になります。

ですから、イスラエルとしては平和目的といえども、イランの
核開発は阻止したいはずです。

欧米諸国に影響力の大きいイスラエルですから、欧米諸国も
イスラエルの意向を無視することはできませんし、

仮に、イスラエルの意思を無視してイランとの合意に至っても、
イスラエルが、イラクの原子力施設に攻撃を加えるという事態も
考えられます。

オバマ大統領とイスラエルのネタニエフ首相

そうなれば、イランや周辺諸国も黙ってはいないでしょうから、
中東での新たな火種が火を噴くこととなり、

そうなると原油を産出する中東の混乱は避けられず、世界経済
への影響も計り知れません。


イランの意図

一方イランとしても、長引く経済制裁の影響で、国内経済が
疲弊しており、国民の不満もたまっています。

ですから、今回の協議では是が非でも、原油輸出の制限を解除
してもらいたいというところにあると思います。

しかしイランとしては国家のメンツも有り、将来のことも
考えると核開発は継続したいと考えているはずです。

ということから、イランとしては、可能な限り核開発を継続
しながらも、経済制裁の全面的緩和を求めていると考えられます。


今後の行方

欧米諸国としては、イランの核開発を全面中止又はそれに近い
形まで持って行かなければ、経済制裁の解除は難しいという所で、

まずは、第1段の合意を目指すという所で、20日からの協議では
・イランの核開発をどの程度制限するか
・経済制裁をどの程度緩めるか

といったところの綱引きになる模様です。

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posted by 如月実 at 11:16 | TrackBack(0) | 国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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